人事制度と評価制度

▮ 人事評価制度


人事評価は、直属の上司との関係が非常に重要となる。特に調査営業職の場合は、上司の好き嫌いによって担当する企業が決まり、営業につながりそうな調査先も上司に気に入られていれば優先的に与えられるためである。結果的に営業成績につながるため、評価でも優遇される形になる。営業面は半年毎に設定するノルマ(社内では責任額と呼ぶ)次第で業務負荷が大きく変わが、属人的な采配でノルマが決まってしまうため、上司の受けが悪いと疲弊することとなる。人事評価は表向き評価シート(チャレンジシート)を活用して客観性を担保しようとしているが、営業成績のウエイトが高いため、ノルマに対する進捗如何で賞与のブレが大きく、昇進・昇格にも影響する仕組みになっている。

▮ 昇格試験


毎年のチャレンジシートの評価をもとに階層が上がり、評価が良ければ昇格試験にノミネートされ、試験に受かれば昇格する仕組みになっている。地方だとなかなか昇格しにくい傾向がある。使えないと判断された人材は専任職という営業をしない内勤専門職に変更される。なお、専任職の給与は400~450万円と大きく落とされる。40歳代後半までにマネージャー職に就かないと給料は激減し、間違いなくリストラ対象に上がる。


▮ 調査営業職の人事


調査営業職では、営業ノルマが半年毎に、商品別で設定されており、個人での達成度合いで賞与に明確に反映される。当然ながら、達成すれば評価され、達成しなければ、反省文や行動管理など徹底され、数字を達成するように指導される。特に調査営業職は営業成績でしか人事評価されないため、時間を掛けた営業は許されない。細く長く付き合う営業よりも太く短い付き合いの営業が評価されやすい。


▮ 内勤部門の人事


内勤部門の評価制度は実にあいまいで、これは調査営業畑だった人が企画や事務の内勤部門マネジャーとして本部に栄転して来るケースが多いため、事務職の定性の評価基準やチームの指針をきちんと言葉に落として説明できるようなマネジャーはほぼいないためである。その結果、達成目標が非常にあいまいになり、内勤部門ではあまり成績に差がつかないこととなる。また、自チーム・自支店・自ブロックの営業数字達成状況により、内勤の評価も上下する。

内勤部門の多くはルーティン業務のため、自分で楽しみを見出す必要がある。見出す楽しみは個人個人で全く異なるが、業務改善といったことは他人を巻き込むことになるため、上司によっては評価がされにくいのが難点。また、部署で評価水準も異なるため、入社直後に意欲を失う人もいる。

▮ 新卒採用について


毎年秋・冬頃に1日又は5日間のインターンシップが行われており、5日間のインターンシップに参加した場合、新卒採用は最終面接から始まり、インターン参加者がそのまま社員として入社するケースが多い。普通に新卒採用の面接を受ける場合でも、就職偏差値は高くないので、社員の大学のレベルは案外高くはない。新卒入社後、数年は営業のバックアップなど、内勤としてバックオフィスを行う。その後はそのまま内勤として残るか、調査員として調査・営業をすることになる。

▮ 調査員の業務経験


社名の通りが良いので、調査員は電話一本で社長や幹部クラスの人間にアポイントが取れて面談ができる。この経験は他の会社ではなかなかできない。調査先も多種多様で、いろんな価値観の方と話せる。帝国データバンクは知名度も高く信頼している社長もたくさんいるので、仕事自体はやり易い環境にある。しかし個人情報保護法の施行以降、企業信用調査は確実にやりづらくなっており、取材情報の裏付けを取ることは難しく、「浅い」調査に終始することになる。

▮ 伸ばせるスキル


企業の経営や業界情報に接するため、経営やビジネスを俯瞰することになるうえ、業務や集合研修を通じて基本的な知識(法律、商業・不動産登記等の仕組み、財務会計、信用調査のイロハetc)は身につく。特に会計知識が必要であるため、数字感覚には鋭くなる。また、拠点ごとにエリアが決まっているため、ビジネス面での地域事情に詳しくなる。一方で、あらゆる業界に接することになるため、いろいろ学べるとも言えるが、広く浅くとなりがちで、業務のみでは専門性が身につかない。このため、信用調査を除くと断片的な知識・経験の集積にしかならない。但し、個人的に好奇心の湧く事象に触れる機会は多いため、ビジネス分野で何らかの専門性を高めるためのキッカケには繋がる。

▮ 次のキャリア


退職する社員が多いが(終身雇用ではない)、その後のキャリアとしては、起業や転職する社員が多い。起業する場合、起業する分野の最先端の知識や、どうやって商売をしてお金を稼いでいるのかを経営者の目線で知ることができる。転職する場合は転職先の業界動向を把握できる。また経営者と接する機会を活かし「儲けている」「風通しの良い」「ホワイト企業」等を経営者の人柄や資質からある程度学べるため、応募企業の面接時に転職先の会社とのミスマッチをなくす能力が身につけることができる。様々な業界、企業診断のスキルが身に付くため、各企業の審査部門で与信管理ノウハウを生かすこともできる。

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